「ひきこもり」の理解を深める。

私たち101カレッジをもっとも短く説明すると、
「不登校、ひきこもり支援の職業体験校」となるでしょう。
(もちろんこれでは圧倒的に足りないので、ぜひ「カレッジ案内」をくわしく見てくださいね)

今回は「ひきこもり」について、理解を深めていきます。
(上の画像は本文と関係ありません)

ひきこもりの定義

厚生労働省では、ひきこもりを「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」としています。

(より厳密な定義は、「さまざまな要因の結果として、社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたっておおむね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念」)

現在、満15歳から満39歳までの54.1万人(1.57%)がひきこもり状態にあるとされ、また満40歳から満64歳では61.3万人(1.45%)だと推計されています。
(ともに内閣府「子供・若者白書」、前者は平成27年度調査、後者は平成30年度調査より)

近年の傾向としては、長期化していることがあります。
実際、ひきこもり7年以上が、5割以上を占めているとのこと。

ひきこもりの「原因」…?

『学校は行かなくても良い』の著者である小幡和輝さんは、ひきこもりになる原因として、以下の7つを挙げています

  1. 人間関係によるストレス
  2. 不登校からそのままひきこもりになる
  3. 就職活動がうまくいかなかった
  4. 受験に失敗した
  5. うつ病
  6. ゲームやインターネットに依存する
  7. 特に理由がない

ただ、調べてみると、
親から過度な期待をかけられる、親が無関心・無干渉、夫婦仲が最悪、といった家庭環境や、受験や就職活動の失敗、いじめ、人間関係でつまづく、など誰の身にも起こりうる経験があり、ひとくくりにできないことが分かります。

また、(性格に依ることには疑問を抱きつつ…)「ひきこもりになりやすい性格的特徴」として、「感情を外に出さない/喜怒哀楽の感情を外に出すのが苦手」「真面目でがんばり屋」「不安感が強い」「ネガティブ気質」など言われますが、反面、6割近くが元々社交的だった、との調査もあります。

私個人としては、「ひきこもりの数だけ、その原因がある。」との解釈がいちばんしっくりきます。
なりやすい、傾向がある、はあるかもしれないけれど、一概には言えない。
またひとりひとりの状態も、要因も、背景も、さまざま。

こうしたさまざまがある中で、共通しているのは「外に出られない自分に対して焦っていること」だといいます。
本人の中に”理想の自分”と”そうできない自分”とのギャップがある。
自分自身と葛藤している。
その事実をまず理解することが大切です。

支援を行うひと、場所

ひきこもりの支援を行っている場所としては、
・家族会、自主会
・支援団体
・フリースクール
・ひきこもり地域支援センター
・就労サポートセンター
などがあります。

長崎県でいうと、
・家族会、自主会:ひまわり会(長崎市)、花たば会(長崎/諫早市)、なの花(大村市)、あじさい会(県央地区)など
・支援団体:NPO法人心澄(長崎市)、NPO法人全国ゆめ未来支援協会(長崎市)、NPO法人フリースペースふきのとう(佐世保市)など
・フリースクール:NPO法人フリースクールクレイン・ハーバー(長崎市)、NPO法人schoot(大村市)など
・長崎県地域ひきこもり支援センター(一覧はこちら
・就労サポートセンター:長崎若者サポートステーションさせぼ若者サポートステーション

このように、官民問わず、さまざまな団体が支援を行っています。

ただ、実際このような関係機関に現状を相談したいかというと、「(そう)思わない」人が 半数以上、とのきびしい現実があります。
また、そもそも「支援する機関があることを知らない人も多いのでは」との意見も。

私たち101カレッジも発足したばかりで、まだ知られていません。
広く周知していくと同時に、顔の見える、信頼しあえる関係を着実につくっていくことが欠かせないと思います。

そして、101カレッジ。

先日、ある支援団体の方とのお話をする機会がありました。
その中で、「ひきこもりになるという経験は一生消えない。きついときの選択肢として、常に本人の前にあらわれる。そのときに、ひきこもりに戻らないようにする。」とありました。
そのために、同じ経験をもつ者同士によるピアケアを基本としたり、OBOG会のような末永いつながりを持ったりと、横断的な仕組みをつくり、包括的な取り組みをされています。

訪問や相談を重ね、就学、就労といった次のステップになったとき、選択肢のひとつにここがあると良いです。

参加への身体的、心理的なハードルをできるだけ下げ、日帰り体験入学や1日2泊のキャンプなどきっかけを増やし、スクールの中身をより充実させていきたいと思います。

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