ナマコ。その名前は誰しもが知っているでしょうが、実はどんな色をしていてどうやって成長しているのか、知らない方が多いかもしれません。
さまざまな職業体験ができる101カレッジでは、海に囲まれた西海市の地場産業である漁業を学ぶ機会がたくさんあります。
長崎ではナマコは普通に食べるモノ
「漁業でナマコ?」と思う方もいるかもしれませんが、長崎ではナマコは昔から食べられている食材です。
生のナマコを薄切り(ぶつ切り)にしてポン酢で食べる「ナマコ酢」は、普段から食べられていますが、こりこりとした食感が人気でお正月の定番料理ともなっています。

2020年7月16日から17日にかけて西海市の西彼町漁協でナマコの放流が行われる中に、101カレッジの職業体験として参加してきました。
正直なところ、話を聞いた時点では「ナマコって放流するんだ!!??」という感想を持った……というのが素直な感想です。
どんなことが行われるのでしょうか。
ナマコの学習会

ナマコ放流にさきがけて、前日の7月16日は漁師さんたちの学習会が行われました。
場所は西彼町漁協の会議室。

学習会というのは、海の中でナマコが増えすぎたり減りすぎたりしないようにする「資源管理」のことや、人間の手と自然の力の両方でナマコを育てていく「栽培漁業」の取り組みについて、漁協職員さんのお話を聞いて話し合いを行う会のことです。
翌日の7月17日にナマコの種苗(赤ちゃん)を海に放流します。
その放流場所を漁師さんたちが話し合いで決めます。

ナマコを放流した場所は、その保護のため、2年間禁漁区域となってしまいます。
普段の漁をする場所を避けて、放流を行わなければなりません。
今年放流した区域は、2022年7月に漁が解禁になるまで、漁のできない保護区となります。
漁師さんというと「気性の荒い海の男」みたいなイメージがありますが、高齢化も手伝ってか穏やかな方が多い西彼町。
話し合いも穏やかに行われました。
いよいよ、放流!!
翌7月17日。
ナマコ放流の朝は、まずナマコの赤ちゃんたちを迎えに行きます。
8時に漁協に集合し、佐世保にある「長崎県栽培漁業センター」まで、2トントラックで一緒に連れていってもらいました。

ここでは、ナマコ以外にもオコゼ、ガザミ、アカウニなど、さまざまな種類の赤ちゃんたちを育てています。
こちらはオコゼの赤ちゃん。

ここでナマコの種苗6万匹分を受け取りました。

まだ体長5ミリ~3センチ程度の小さな赤ちゃんたちです。
これらナマコの種苗は、亀浦、大串、宮浦の3地区に分けて運ばれます。
運ばれたナマコは、漁師さんたちの手でそれぞれの区域に放流します。
行ってらっしゃい、ナマコさん
放流する船に乗って、作業のお手伝いです。
放流するといっても、カキの殻にナマコの種苗を付けて海に沈めるという作業です。
目標は、水深の浅い砂地のポイント。

船の上には、カキの殻がたくさん入ったかごが10個ほど。
このかごに、発泡スチロール箱に入っていたナマコの赤ちゃんをぶっかけます!!

ブシャー!! と。

かごからあふれ出たナマコの赤ちゃんも。(え、あふれてるけどいいの?)

このかごを、漁師さんがポンポンと投げ込んでいきました。
ギリギリ砂地のところに投げ入れています。
さっきのブシャーな作業といい、さっさと終わった投げ入れといい、けっこう、「あっこんな感じでいいんだな」というのが素直な感想です。
そうしてお昼12時には作業終了。
シンプルな作業ですが、こうして放ったナマコの赤ちゃんが、これから海の中で自然の波や他の生物と関係し合いながら成長していくのですね。
行ってらっしゃい、ナマコの赤ちゃんたち。
元気で大きくなれよ!
Published by